文章に説得力を持たせるため、具体的に語る

文章に説得力を持たせるため、具体的に語る

日々の会話の中では、誰もが日常の出来事をエピソードとして語ってます。たとえば、「彼は寂しがり屋だ」という話を聞いたら「どんな風に寂しがりやなのか」具体的に知りたくなります。その問いに対して「こないだもこんなことがあったよ」と具体的なエピソードを聞くことができれば納得できます。

語られるエピソードが詳細で、真実味があれば「彼は寂しがり屋だ」と一万回繰り返すより説得力が出てきます。文章も具体的に語ることが、相手を納得させる最強の武器になります。

良寛(りょうかん)というお坊さんの話をご存知でしょうか?彼は「無邪気で純粋な人」だったといわれています。そしてその人柄を示すこんなエピソードが残っています。

具体的エピソードは説得力がある
ある日、良寛は家々を回りながら、お経を唱えていました。その途中でかくれんぼをする子供たちに出会い、一緒に遊ぶことになりました。鬼の役になった良寛は、日が暮れて子供たちが帰った後も、木に顔をくっつけて「もういいかい?」といい続けていました。

このエピソードは、良寛の人柄を単純に「無邪気で純粋な人」と言葉で表すよりも、はっきりと分かりやすく示すことができています。「寂しがりや」「無邪気」といった形容詞だけでは伝えきれない微妙な感情はエピソードでしか伝えることはできないものなのです。

ただ、エピソードはあったことを具体的に話せばいいわけではありません。あるひとつのエピソードをありのまま語っても、聞く人によって捉え方は様々です。説得力を持たせ具体的に語るには、目に付けどころが大事になってきます。

文章の中に具体的エピソードを盛り込むには、文章全体の趣旨を理解し、エピソードを通して何を伝えたいのか明確にする必要があります。

たとえば、若者言葉を使った「~だし」「~とか」という会話を聞いて、日本が破綻していると感じる人がいる一方、断定を避けた表現が、日本古来の奥ゆかしさを表現していると評価する言語学者さえいます。

文章に説得力を持たせるには、自分がどちらの見方をしているかをはっきりさせ、エピソードの前後できちんと説明する必要があるでしょう。


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