感情表現は、事実を描写する

感情表現は、事実を描写する

喜びや怒り、悲しみなどの感情を文章で表現するときは、単に「嬉しかった」「腹が立った」と書くだけでは物足りません。上手な文章を書きたいなら、あえて「喜び」「怒り」「悲しみ」といった言葉を使わずに、事実を描写するといいでしょう。

「喜び」「怒り」「悲しみ」といった言葉を使わずに感情を表現しようとすると、そんな気持ちになるまでのいきさつを、事細かに説明する必要が出てきます。物事の観察を余儀なくされ、文章力も観察力も高まります。

たとえば次の文章を読んでください。

感情を一言で表現した、下手な文章の書き方
誰も見送りに来てくれないと思っていたので、みんなの姿が見えたときは、とても嬉しかった

「嬉しかった」という感情表現が入っています。これを「嬉」という言葉を用いずに、事実を描写すると次のような文章になります。

事実の描写で感情を表現した、上手な文章の書き方
支店の危機で、突然の転勤を命じられた。一週間という通常では考えられない短い期間で、残された仕事の引継ぎや引越しの準備に奔走した。当日はみんな、仕事の予定があり、見送りなしの心細い出発を覚悟していた。
 
搭乗手続きを済ませ、ゲートに向かおうとしたとき「田中!」と私を呼ぶ声が聞こえた。振り向くと、仕事で来れないと思っていた営業部のみんなの姿が目に飛び込んできた。思いもよらぬ出来事で、私は心が震えた。私は、みんなの笑顔に笑顔で答え、新天地での再出発を心に誓った。

「嬉しい」という言葉を使わなくても、「嬉しい」気持ちが伝わったと思います。感情を一言で表現するのは簡単ですが、実は、一言では言い表せないさまざまな事実の結果に沸き起こる気持ちの場合がほとんどです。だから、感情表現は、事実を描写するほうが、読み手に伝わりやすい文章になるのです。

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