主語「私」を文中に入れるべきか?

主語「私」を文中に入れるべきか?

書き手の思いや行為を文章にするとき、「私は~」と書き始めますが、「私」はなくても意味は伝わります。文中に「私」を入れるか入れないかの基準について考えてみたいと思います。

次の文章を読んでみてください。

主語「私」を使わない文章
せっかくの休みだというのに、外に出ることもなく既に夕方だ。昨日いろいろ予定は立てたのだが、今のところ何一つできていない。おなかも空いてきた。今後の予定は、腹ごしらえをしてから考えよう。

この文章には「私」は出てきません。無理に「私」を入れようと思うと、自己アピールしすぎのくどい文になってしまいそうです。自分自身の気持ちをつづった文章には、無理して「私」を入れるべきではないでしょう。

そういいつつも、自分自身の気持ちを表現した文章に、自然に「私」を取り入れて書いてみます。

主語「私」を使った文章
私は最近薄毛に悩んでいる。そういえば何年か前、友人がこんなことを言っていた。「ハゲもひとつの個性だよ。ブルース・ウィリスみたいなかっこいいハゲだっているんだ。もしハゲてもそんな男を目指せばいい」。私もその意見に賛同した。そして今、その問題に自分自身が直面している。私は、どんなハゲを目指せばいいか、いろいろ思いを巡らせている。

テーマ自体は軽いですが、おかしな文章ではありません。この文章から、単に「私は」だけを取り除いてみます。

主語「私」を取り除くと・・・
最近薄毛に悩んでいる。そういえば何年か前、友人がこんなことを言っていた。「ハゲもひとつの個性だよ。ブルース・ウィリスみたいなかっこいいハゲだっているんだ。もしハゲてもそんな男を目指せばいい」。私もその意見に賛同した。そして今、その問題に自分自身が直面している。どんなハゲを目指せばいいか、いろいろ思いを巡らせている。

2つの文章を比べてみると、最初の文章は、面白さを強く感じませんか?そして、後の文章は、「私」を取り除いたことによって、真剣味が増したように感じないでしょうか?

どちらも間違った文章ではなく、「私」を入れる入れないの明確な基準などありません。ただ、入れるときと入れないときでは、読み手に伝わる感じが少し違ってきます。あとは、文章全体のリズムも変わってくるので、そういったことを踏まえて「私」を使うかの判断基準にするといいでしょう。


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