主語と述語は近づける

主語と述語は近づける

文章を作るときは、主語と述語をあまり離すことなく、ワンセットとして考えます。ある主語に対する述語がいつまでも出てこないと、読者はいらいらしてしまいます。

たいていの日本語の文章は、主語が最初に来て、その後述語がきます。ただ述語の位置は、主語の後ならどこでもいいのです。明確な規則はありません。

しかし、主語と述語が遠く離れてしまうと、分かりにくい文章になり、読者に伝わりにくくなります。

例えば次の文章はわかりにくいダメな文章です。

下手な文章の書き方例
ある評論家は、日本全国に多くの美術館が建てられたものの、訪問者が毎年一割ずつ減っており危機的状況で、それにもかかわらず美術館を存続させることは、税金の無駄ではないかと指摘している。

この文章には主語が4つもでてくる。「ある評論家は」「美術館が」「訪問者が」「存続させることは」。

この文章が読みにくいのは、主語と述語が離れているからです。文冒頭の「ある評論家」の述語は文の最後の「指摘している」です。「ある評論家」の述語を探しながら読み進めると、いくつもの主語を通り越し、文最後にやっと出てくる。「ある評論家」と「指摘している」を近づけた文章にしないと、読者はとても疲れてします。

もう一箇所。「美術館が」に対する述語が二つある。「建てられたものの」と「危機的状況で」。また「危機的状況で」の前には「訪問者が毎年一割ずつ減っておりという」くだりがありよけい分かりにくい。

これでは「危機的状況で」の主語がなんなのか分かりづらい。「(美術館の)運営」などの言葉を文章に盛り込んで、「危機的状況で」の主語を明確にすると分かりやすい。

これを踏まえて文章を「書き方ができる人」が書き直すと次のようになる。

うまい文章の書き方例
ある評論家は、次のように指摘している。日本全国に多くの美術館が建てられてもの、訪問者が毎年一割ずつ減っており、その運営が危機的状況になっている。それにもかかわらず、美術館を存続させることは、税金の無駄ではない

文章を読んでいると、読者は主語と、それに対応する述語を探します。主語と述語が離れてしまうと、読者は混乱しかねません。書き方ができる人は、主語と述語を近づけて文章を書きます。複雑な文章ほど、そういった配慮が必要なのです。


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